相続時精算課税制度とは?制度の内容や税金の計算方法などを解説

2024-01-09

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相続時精算課税制度とは?制度の内容や税金の計算方法などを解説

この記事のハイライト
●相続時精算課税制度を利用すると贈与税が2,500万円まで非課税になる
●贈与額と相続財産の総額が基礎控除額を超えた場合は相続税がかかる
●相続時精算課税制度は税金の先送りが目的なので節税になるとは限らない

子どもや孫が親や祖父母から贈与を受ける場合、相続時精算課税制度を利用できます。
相続時精算課税制度とは、要件を満たすことで贈与税を2,500万円まで非課税にできる制度です。
ただし必ずしも節税に繋がるというわけではないため、事前に制度の内容や注意点を理解しておく必要があります。
大阪市住吉区で相続のご予定がある方は、ぜひ最後までご覧ください。

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相続時精算課税制度とはどのような制度?

相続時精算課税制度とはどのような制度?

はじめに、相続時精算課税制度の仕組みと適用対象者、手続き方法について解説します。

相続時精算課税制度の仕組み

相続時精算課税制度とは、子どもや孫が親や祖父母から贈与を受けた際に、最大2,500万円まで贈与税を非課税にできる制度です。
2,500万円を超える金額の贈与を受けた場合は、超えた部分に対して一律20%の贈与税がかかります。
たとえば祖父が孫に対して、財産5,000万円のうち2,000万円を生前贈与したとしましょう。
この制度を適用すれば2,500万円までは贈与税がかからないため、2,000万円も非課税となります。
ただし祖父が亡くなり相続が発生したときは、相続税を計算する際に、生前贈与された財産も遺産に含めなければなりません。
そのため、残りの3,000万円と過去に贈与した2,000万円を足した5,000万円に対して、相続税が課税されます。
つまり相続時精算課税制度は、税金を免除するという制度ではなく「税金を先送りにして相続時に課税する制度」と考えておきましょう。

相続時精算課税制度の適用対象者

相続時精算課税制度を適用するには、贈与者と受贈者がそれぞれ一定の要件を満たす必要があります。
贈与者に対する要件には、贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母または祖父母であることが挙げられます。
一方で受贈者は、贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の者のうち、贈与者の直系卑属(子や孫)であることが条件です。

制度を利用する場合の手続き方法

相続時精算課税制度を適用するには、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に以下の書類を提出する必要があります。

  • 贈与税の申告書(第一表・第二表)
  • 相続時精算課税選択届出書
  • 受贈者の戸籍謄本または戸籍抄本
  • 受贈者の戸籍の附票
  • 贈与者の住民票又は戸籍の附票

書類の提出先は、贈与を受ける側の住所を管轄する税務署です。
贈与税の申告書は税務署で直接取得するほか、国税庁のホームページからもダウンロードできます。
申請方法としては、国税庁のWebシステム(e-Tax)による電子申告と書類を窓口もしくは郵送で送る方法があります。
平日に時間を取って税務署へ出向くのが難しいという方は、電子申告を検討すると良いでしょう。
なお、贈与税の申告書と相続時精算課税選択届出書の書き方は、国税庁のホームページで確認できます。
手続きをスムーズに進めるためにも、あらかじめ記載例を確認しておくことをおすすめします。

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相続時精算課税制度における税金の計算方法とは

相続時精算課税制度における税金の計算方法とは

ここからは、相続時精算課税制度を適用した場合の贈与税および相続税の計算方法を解説します。

贈与税の計算方法

先述したように相続時精算課税制度を適用すると、贈与税が2,500万円まで非課税となります。
超えた部分に関しては一律20%の税率がかかるため、税額を求める際は以下の計算式を利用します。
贈与税=(贈与財産の総額-2,500万円)×20%
贈与した財産の総額が6,000万円だとすると、贈与税は「(6,000万円-2,500万円)×20%=700万円」です。

相続税の計算方法

相続税には基礎控除が設けられており、その控除額を超えなければ相続税はかかりません。
基礎控除額は法定相続人の数によって変動し、人数が多くなるほど控除額も大きくなるのが特徴です。
基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
たとえば法定相続人が4人いる場合、基礎控除額は「3,000万円+(600万円×4人)=5,400万円」です。
つまり、先送りしていた贈与額と財産総額の合計が5,400万円以下であれば、贈与税は課税されません。

相続税のシミュレーション

法定相続人は受贈者のみ、生前贈与として2,000万円を受け取っており、相続発生により4,000万円の遺産を受け取るとしましょう。
この場合は、贈与分と相続財産を合計した6,000万円が課税対象となります。
今回のケースでは相続人が1人なので、基礎控除額は「3,000万円+(600万円×1人)=3,600万円」です。
相続税の課税対象である6,000万円から基礎控除額の3,600万円を差し引くと2,400万円となり、2,400万円が相続税の課税対象となります。
この2,400万円に税率をかければ相続税額がわかりますが、税率や控除額は法定相続分に応ずる取得金額によって異なります。

  • 取得金額が1,000万円以下:税率 10%・控除額 なし
  • 取得金額が3,000万円以下:税率 15%・控除額 50万円
  • 取得金額が5,000万円以下:税率 20%・控除額 200万円
  • 取得金額が1億円以下:税率 30%・控除額 700万円

今回のケースは「取得金額が3,000万円以下」に該当するため、相続税は「(2,400万円×15%)ー50万円=310万円」です。

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相続時精算課税制度を適用する際の注意点とは

相続時精算課税制度を適用する際の注意点とは

冒頭でも触れたように、相続時精算課税制度は必ずしも節税になるとは限りません。
「こんなつもりではなかった」と後悔しないためにも、事前に注意点を確認しておきましょう。

相続時精算課税制度は税金の先送りが目的

相続時精算課税制度は、あくまでも税金の先送りが目的です。
贈与者が亡くなった際は、贈与された分も含めて相続税を計算するため、直接節税になるわけではありません。
状況によっては節税になるケースもありますが、必ずしも税金が減るわけではないことを理解しておきましょう。
相続時精算課税制度を使った税金対策は専門知識が必要になるため、まずは税理士に相談してみることをおすすめします。

亡くなる直前に贈与しない

被相続人が亡くなる3年以内に贈与をおこなうと、生前贈与加算の対象となる可能性があります。
生前贈与加算とは、死亡前3年以内に被相続人から贈与を受けていた場合に、贈与額を加算して相続税を計算するというものです。
ただし令和6年1月1日以降の贈与については、対象となる期間が3年以内から7年以内へ延長されることとなっています。
生前贈与加算のリスクを回避するには、死期が迫ってから慌てて財産を贈与するのではなく、元気なうちから計画的に贈与をおこなうことが重要です。

相続税の物納には利用できない

納税方方法の1つに、現金の代わりに相続した物(不動産など)で税金を収める「物納」があります。
物納は、相続で引き継いだ財産よりも相続税のほうが高く、税金が支払えないという場合に有効です。
ただし、相続時精算課税制度を利用して生前贈与を受けた財産については、原則として物納ができません。
相続時の税金についてもしっかり考えたうえで、生前贈与をおこなうかどうか判断しましょう。

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まとめ

相続時精算課税制度は、親や祖父母から贈与を受けた際に、贈与税を最大2,500万円まで非課税にできる制度です。
一見するとお得に見えますが、あくまでも目的は税金の先送りなので、必ずしも節税に繋がるわけではありません。
また、相続時精算課税制度を利用して贈与された財産は物納には利用できないため、相続時のことも考えたうえで利用を検討しましょう。
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堂前利之

部署:あびこ店 店長

資格:宅地建物取引士、不動産仲介士®、相続診断士®、土地活用プランナー®


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