2024-09-17
最近は、入籍をしない「事実婚」を選択する方も増えています。
しかし、そのパートナーが亡くなった場合、財産はどうなるのでしょうか。
今回は、事実婚をしているパートナーに財産の相続権はあるのか、財産を譲る方法と注意点について解説します。
大阪市住吉区で不動産の相続を控えている方は、ぜひご参考になさってください。
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まずは、「事実婚」とはどのような状況を指すのか、通常の婚姻関係との違いについて解説します。
事実婚とは、実際に夫婦関係といえる男女が、法的に入籍していない状態のことで、「内縁関係」ともいいます。
婚姻届を提出し、戸籍上の夫婦となる「法律婚」とは異なり、事実婚は法的な夫婦関係ではありません。
では、なぜ事実婚を選択する方がいるのか、その理由は、以下のようなメリットがあるためです。
法律婚の場合、婚姻届を提出する際に、どちらかの戸籍に入るため、同じ姓を名乗ることになります。
一方、事実婚は法的な手続きをおこなわないため、夫婦がそれぞれの姓を名乗ることが可能です。
たとえば、妻になる方が一人娘で跡継ぎがいない場合や、再婚するときに子どもの姓を変えたくないケースでは、事実婚を選択すれば、今の姓を残すことができます。
また、戸籍にこだわらない、戸籍を変えたくないという場合も、事実婚であれば戸籍に残りません。
さらに、法律婚は「家に入る」といったイメージがあり、その家に合わせて生活しなければならないという窮屈さを感じる可能性があります。
しかし、先述のとおり、事実婚であれば、姓も戸籍も変える必要はありません。
したがって、事実婚を選択する方のなかには、「夫婦が対等な関係でいたいから」という理由を挙げる方も少なくないのです。
事実婚のパートナーは「配偶者」ではないため、法律婚の夫婦に認められている権利でも、事実婚では認められないこともあります。
とくに、事実婚をしている方が注意すべきは、相続権がないことです。
そもそも、亡くなった方の財産は、民法が定める「法定相続人」が、その順位に沿って引き継ぐのが基本です。
配偶者は常に法定相続人であり、そのほかの法定相続人の範囲と優先順位は、以下のように定められています。
相続権を有するのは、法律上の婚姻関係がある配偶者と、子、直系尊属、兄弟姉妹のみです。
さらに、国税庁のホームページには、内縁関係の方は相続人に含まないことが明記されています。
つまり、事実婚の場合、パートナーの遺産の相続権はないのです。
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事実婚の場合、パートナーには相続権がないことを前章で解説しましたが、存命中に対策しておくことで、財産を渡すことができます。
そこで次に、事実婚の関係でパートナーに財産を渡す方法について解説します。
その方法は、下記の3つです。
どのような方法なのか、順番に見ていきましょう。
相続が発生してしまうと、事実婚で一緒に生活しているパートナーといえども、財産を渡すことができません。
一方、「生前贈与」であれば、本人との関係に関わらず、自分が選んだ方に財産を渡すことができます。
しかし、受け取る側の承諾が必要です。
また生前贈与をおこなうと、贈与を受けた方に対して贈与税が課されます。
ただし、贈与税には、年間110万円までの非課税枠があります。
つまり、年間110万円までの贈与をおこなえば、贈与税はかからないのです。
事実婚のパートナーを、死亡保険金の受取人に指定すれば、自分が亡くなったあとに保険金を渡すことができます。
ただし、お互いに戸籍上の配偶者がいないことや、所定の期間生計をともにしていることなど、いくつか条件を満たす必要があります。
また、配偶者であれば死亡保険金についての相続税の非課税枠が適用されますが、事実婚の場合は適用されません。
したがって、受け取った死亡保険金はすべて相続税の課税対象となるため、注意が必要です。
相続においては、遺言書の内容が優先されます。
法定相続人がいても、遺言書のほうが強い効力を持つため、事実婚のパートナーに財産を渡したい場合は、そのことを記載した遺言書を作成しておくことをおすすめします。
ただし、法定相続人には、最低限の相続を主張できる「遺留分」が認められています。
遺言書を作成するときには、法定相続人の遺留分を侵害することのないよう、注意が必要です。
また、生前贈与にしても、遺言書で指定するにしても、遺産に不動産が含まれている場合は、分割や手続きが複雑です。
したがって、所有している不動産を存命中に売却するか、もしくは、相続が発生した際、スムーズに売却に進めるよう、準備をしておくと良いでしょう。
なお、遺言で財産を渡す「遺贈」は相続税の対象です。
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事実婚であっても、存命中に対策することで、パートナーに財産を渡せることを前章で解説しました。
しかし、いくつか注意点があるため、あらかじめ把握したうえで検討してください。
法定相続人以外の方が遺産を相続した場合、相続税額の2割に相当する金額が加算されるといルールがあります。
たとえば、先述したように、生命保険金の受取人に指定し、パートナーに保険金を渡した場合、その保険金は相続税の対象です。
そして、さらに2割加算して納税しなければならないため、負担が大きくなることを頭に入れておく必要があります。
戸籍上の配偶者が遺産を相続した場合、法定相続分もしくは1億6,000万円までは税金がかからない「配偶者控除」を受けられます。
しかし、事実婚の場合、長年生計をともにした夫婦同然の関係であっても、法律上の配偶者ではありません。
相続した金額がそのまま課税対象となるため、相続税額が高額になる可能性があります。
小規模宅地等の特例とは、被相続人が自宅や事業に使用していた宅地の相続税評価額を、最大80%削減できるという制度です。
この特例を受けられるのは、法定相続人のみです。
事実婚の場合、たとえば遺言書により、一緒に暮らしていた自宅を受け取った場合、その評価額の満額が課税対象となります。
このように、法律婚の場合、遺産相続時に課される税金が安くなる優遇措置があります。
しかし、法律婚と同様の生活をしていたとしても、事実婚では対象外とされることが多く、税金の負担も大きくなるでしょう。
したがって、事実婚の関係で遺産を渡したい場合は、生前贈与の非課税枠内で贈与をするのが良いでしょう。
不動産については、現金化すれば財産として渡しやすくなるため、売却を検討することをおすすめします。
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相続において、法律上の婚姻関係である「配偶者」は常に法定相続人ですが、事実婚の場合、そのパートナーに相続権はありません。
事実婚で財産を渡したい場合は、遺言書を作成して指定することで可能になりますが、相続税の優遇措置を受けられないため、負担が大きくなります。
したがって、相続ではなく、存命中に生前贈与で財産を渡すのが得策ですが、不動産の場合は贈与税の非課税枠内で渡すのは難しいため、売却して現金化することを検討しましょう。
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